アルコール依存症とは

 アルコール依存症は複合疾患です

身体に多大な健康被害をもたらすだけでなく、生活の他の諸領域(精神、家族、対人関係、社会的側面等)に対しても大きな悪影響を及ぼす複合的疾患です。

 

 アルコール依存症のとらえ方

 

  • 薬物依存という観点からみると

 薬物依存症の一種です。薬物依存症にはニコチン、カフェイン等の合法的薬物の他、覚せい剤、コカインなど違法薬物があります。

 

  • 脳科学という観点からみると

アルコールという依存性薬物の累積的使用によって、主として脳内報酬系に異常きたすことがアルコール依存症の大きな成因だと考えられています(後述)。そういう意味でアルコール依存症は脳疾患です。

 

  • システム論という観点からみると

アルコール依存症は孤立した現象とか個人的問題ではなく、アルコール依存症とされた方を取り巻く全ての人の共通の問題です。

 

アルコール依存症の捉え方(疾患モデル)は上記以外にも何種類かあります。当院はそれらの統合したモデル(統合モデル)に基づいて治療法を構築しています。

 

アルコール依存症の特徴

 

  • アルコールの使用が他の行動より高い優先度を持つようになります。
  • アルコールを使用したいという非常に強い欲望(飲酒渇望)が、顕在的あるいは潜在的に出現します。
  • アルコールを長期大量に使用した後に、アルコールから完全にあるいは不完全に離脱すると、脳の抑制状態が急に解放されてさまざまな症状(離脱症状)を生じます。
  • アルコールは身体、精神毒性を有するので、アルコール性の身体疾患、脳・神経疾患が生じます。
  • 身体、精神面以外に生活の他の側面(家族、対人関係、社会的側面等)にも大きな影響を及ぼします。
  • 長期にアルコールを止めていても、一度口してしまうと再発してしまいます。